自分をアスペルガーだと確信した時

「アスペ」ってのがいるらしい。
おれはそれを2chなどの匿名掲示板で知った。MMORPGにはまっていた2007~2008年頃のことだ。

どうやらアスペとは、人の気持ちが判らない嫌な奴のことらしい。
とんでもない奴が世の中にはいるな、できるだけ関わり合いになりたくないな、と思っていた。


■あるブログを読んで気づいたこと

それから月日は流れて8年ほど経った2016年11月。
RSSフィードで定期的に購読している巡回先のブログで、こんなエントリーを読んだ。

●「はてなブロガーに5つの質問」に答えてみました(『いつか電池がきれるまで』より愛憎をこめて) - いつか電池がきれるまで

3.自分のブログで一番オススメの記事

●「医学部に進んでしまったけれど、医者にはなりたくない」という増田さんへ - いつか電池がきれるまで
「一番オススメ」ということなので、これにしてみました。
個人的に思い入れがある記事は少なからずあるのですが、この記事は「僕が言いたいこと」と「僕にしか(というほどではないけれど、僕のような属性の人間にしか)書けないこと」が両方満たされているのではないかと思ったので。


「一番オススメ」というなら読んでみようか。そんな軽い気持ちでクリックした。
エントリーの中盤で「発達障害」の話が出てきた。おや、これってあの「アスペ」じゃないか。

そこでの引用部分を読むと、自分そっくり。すぐにリンク先を全文読んだ。


●「医学部に進んでしまったけれど、医者にはなりたくない」という増田さんへ - いつか電池がきれるまで

「発達障害」という病名をつけられると、「いや自分はそんなのじゃない」と言いたくなるのですが、こういうのは白黒二極化しているようなものではなくて、大部分の人はグレーゾーンのなかで、「白に近いか、黒に近いか」なんですよね。


読めば読むほど似たところがある気がする。
このエントリーを読んで、「だいぶ黒に近いぞ、おれは」と思った。

■アスペルガー関連書籍を注文する

書籍を注文した。

前述のブログで紹介されていたもの。さかもと未明氏はADHDとの合併なのでおれとは少し違うようだったが、当事者の声として読んでみたかった。


発達障害の人間がどんな時に失敗し、どんな時に受け入れられるのかを理解したかった。大げさに言えば、おれの今までの生活はこれを理解したいために試行錯誤していただけだと言えるかもしれない。


アスペルガー症候群の当事者ではなく、そばにいる人の声も聞いてみたかった。アスペルガーがどういう見られ方をしているかを知りたかった。
また、現在のパートナーが感じているかもしれない苦しさを和らげる一助となればいいという期待もあった。

注文した書籍の中でこの本が真っ先に届いたので読んだ。
この中に出てくる「アスペルガーの彼」は、少なめに見積もっても半分以上は自分のことのようだった。


アスペルガーの人間の向き不向き、どうやって社会に馴染めば無理なく暮らしていけるかを知りたかった。



■ネットの情報を乱読する

他の書籍が届くまでの間、ネットに出ている情報を片っ端から見て回った。
アクセス稼ぎのアフィリエイトサイトは除いて、できるだけ当事者や、それに近い人の書いたページを選んで読んだ。

●奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第1回】時間に細かすぎる親子(奥村 隆) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)
●ASD(自閉スペクトラム症) | いつも空が見えるから
●アスペルガーの2つのタイプ「天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル」 | いつも空が見えるから
●なぜアスペルガーの人は尊大で怒りやすく見えるのか―人格障害との違い | いつも空が見えるから
●絵に表れる視覚優位と聴覚優位の特徴―色と線の見え方 | YuKiのスケッチブック (YuKi's Sketchbook)

2016/12/09 追記 よく見たらアフィリエイト量産系のサイトだったのでリンク解除。
●アスペルガー症候群にまつわる体験談
http://asperger.nerim.info/experiences/
追記終


身に覚えのある部分が多かった。


■テレビで自分にそっくりな人を見た

上記の情報を乱読していたちょうどその頃、2016年11月3日に『雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク! コロチキ・ナダルSP ひんしゅく体験!ナダル・アンビリバボー2』が放送された。

いつも観る番組なので、いつものように観た。
自分に重なる部分を多く感じた。録画したものを何度も繰り返し再生した。

ふと、「コロチキのナダル氏の言いたいことは、周りにはまったく伝わっていないんだ」ということに気がついた。
最初に観た時は、周りにいる芸人たちは本当はナダル氏の言いたいことをわかっているが、「笑い」にするためにわざとわからないふりをしているのだと思った。おれから見れば、ナダル氏の言いたいことは明らかだったからだ。
しかし、何度か繰り返し観るうちにそうではないことがわかった。

仕入れたアスペルガーの情報と自分の体験に照らし合わせると、「翻訳」できるような気がした。

2016/12/24 追記
●野良黒 アスペのおれがコロチキのナダルの心理を解説する
●野良黒 アスペルガーから見たコロチキナダルの心理とは?
エントリーのタイトル変更に伴い修正。
追記終わり

10854文字にもなる長文。正直に言って読む人のことをまったく考えておらず、自分がコロチキのナダル氏の言葉を翻訳できるのかどうかを試したくて書いたものだ。

タイピングする指はまったく止まらず、すらすらといくらでも書けた。
あまりにも指が動くので、これでも自分に関する部分は端折って短くしている。


■アスペルガーの出てくる映画を観た

●Amazon.co.jp: ものすごくうるさくて、ありえないほど近い: Amazonビデオ
対人関係に問題のあるアスペルガー症候群の疑いのある少年が主人公とのことで観てみた。確かにそれっぽい描写がある。
数字へのこだわりを持つタイプで強度のパニック障害持ち。おれとは違うタイプなのであまりシンパシーを感じなかった。

不慮の事故で家族を亡くした子供なので、いろんな人から親切にしてもらえてうらやましいと感じた。この少年は家族や周りの理解と補助がたっぷり得られているので、そうしたものがなかったおれからすると、うまくやりやがってという嫉妬心が湧き出てきてしまって、それを理性で「いやいや、おれももう大人なんだからこんな子供に、しかも作り物の映画に嫉妬しなくても」とツッコミながら観なくてはいけなかった。
あれだけの過保護環境なのだからこの子の境遇は心配ないだろう。


■自分をアスペルガーだと認めてわかったこと

上記のことから総合的に考えて、客観的に自分を眺めてみると、限りなくアスペルガーに近い人間なんだということが理解できた。
診察を受けて専門医からそう診断されたわけではないが、おそらくアスペルガーを知る人から見るとおれもそう見えるはずだろう。

ということは、アスペルガーへ向けて書かれたアドバイスや生き方を参考にすると、今よりずっと楽に生きられるかもしれない。
アスペルガーとして生きてみようと思った。

そうして自分をアスペルガーだと認めてみると、世の中のニュースが急にどうでも良くなってきた。

それまでは、なぜ自分が世間に受け入れられないのかを知るためと、きちんとした情報や世の中の流れを知っているということが人望につながるかもしれないという思いから暇さえあればニュースやコラム、論評を読んでいた。
だが、そういうことではなかった。

そんな情報をいくらインプットしても無駄だし、それで自分が世間に受け入れられるということもないのだと悟った。
こう書くと悲観的な思いのように読めるかもしれないけど、おれ自身の気持ちとしてはそうではない。結果の出ない無駄な努力をせずに済むようになって嬉しく思っている。

おれが今まで抱えてきた生きづらさと行き場のない怒りは、定型発達の「普通の人達」に無理にわかってもらおうとするから苦しむのだ、と理解できた。そして無理に「普通の人達」を理解しようとするからストレスを感じるということも解った。おれが定型発達の気持ちがまるで理解できないように、あちらの人達にもおれの気持ちが理解できるはずもない。所詮別の生き物なのだ。
話せばわかるではなくて、何やっても理解できない、されない。まずはこれを認めるところから始めよう。その上で妥協点を探る。

ずっと何もかもが手探りで目隠しの福笑いをやっているような気分だった。完成図はいつもへんてこで、笑われるかふざけるなと怒られるかのどちらかだった。
気持ちが固まると、少し心が軽くなった。どこへ行けばいいかは判らないけど、とりあえず目の前の霧は晴れたという感じがする。

●アスペルガー症候群 - Wikipedia

アスペルガー症候群のような高機能な自閉症の存在が知られるのはここ数十年、特に一般に認知されてきたのは1980年代以降であるため、その多くは残された記録から見た専門家による推測であり、正式な診断ではない。疑いがあるが、診断されなかった者たちについて残された記録をもって推測することの是非について論争が絶えない。


Wikipediaでこんな記述を読んだ。
1980年と言えば、おれが産まれた年だ。そうか、おれはアスペルガー症候群と共に生まれたのか。

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テーマ : アスペルガー症候群・自閉症スペクトラム
ジャンル : 心と身体

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No title

自分も1980年生まれのアスペです。
すごく、よく書けてますね。
共感というか、あたりまえじゃんというか。
アスペの自分が読んでいるからでしょうか。
定型の人は、何言ってんだ?なのかもしれませんね。

ナダルのアメトークは、あぁ、アスペですねって
自分も後ろめたくも、楽しく見てましたよ。ナダル側の心情で。
定型の人には分からないもんですね。

Re: No title

コメントありがとうございます。同い年なんですね。

自分をアスペルガーだと判ってまだ日が浅いのですが、当事者の方にそう言っていただけると自分の理解もそう間違ってはいなかったと思えます。


アスペルガーのミュージシャンに役立つ「少数派」という才能の活かし方―ゲイリー・ニューマンやスーザン・ボイルから学ぶ | いつも空が見えるから
http://susumu-akashi.com/2016/06/asperger-musician/

上記エントリーにて『発達障害は、「障害」ではなく「異文化」「別の種族」である』という考え方が引用されているのですが、とても腑に落ちるものだと感じます。
「同じ人間」であるとか「話せば分かる」という前提で接するから摩擦が生まれるのではないか、と。

少なくともそうした区別は、自分にとっては他人との接し方においてずいぶん楽になることでした。
定型の人はよく「アスペルガーだから仕方がない」という言い方を使いますが、アスペ側からしたら「定形だから仕方がない」ですもんね。「全然言葉通りに理解してくれねぇなあ」って。

そうした距離感と、理解のある「通訳者」の協力は必須なのだな、と思うようになりました。
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プロフィール

兼業農家ツベル

Author:兼業農家ツベル
PC(パソコン)ときどきゲーム。ニュースも少々。

平成28年熊本地震に被災しました。今は元気です。

最近自分がアスペルガー症候群(AS)の特性が強いことがわかりました。

更新通知用:@tbrcln

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