読書 - カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生



【収録作品】
●カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生
●空の写真とバンプオブチキンの歌詞ばかりアップするブロガーの恋
●ダウンタウン以外の芸人を基本認めていないお笑いマニアの楽園
●口の上手い売れっ子ライター/編集者に仕事も女もぜんぶ持ってかれる漫画 (MASH UP)
●テレビブロスを読む女の25年

 タイトルがもう痛々しい。とても正面からは見れないものがある。それは、自分から似たにおいを嗅いだことがあるからだ。臭い。くさい。知っているぞ、このにおいは。いいものじゃない、栄養になるものではない。しかし、間違いなく自分の中から出てきたものだ。うっと鼻をつまんでしまいそうになる。自分から出てきたものがこんなにもくさいなんて。認めたくない。知られたくない。
 そこかしこから「おれを見て」「わたしに注目して」「気づいて」「埋もれさせないで」という声が聞こえてくるようだ。人とは違う、ちょっとすごいと思われたいという自意識はおれにもあり、それをわざわざこうしてブログに書くのは「そういうのをちゃんと認めて自覚できてるなんてえらーい」と思ってもらいたいという意識があるからだ。そうすることで、”捨てることができたこと”にしている。だが、誰かが気づいているだろうし、そうだろうということも自分でもわかっている…つもりだ。そこに目を向けないことで、なかったことにしたいだけだ。
 主人公はみんな、自分に力がないのを認めたがらず、理解できない他人が悪いというスタンスだ。そうして誤った方向に努力し、こんなにがんばったのに報われない…と嘆く。少し離れて見ればわかることが、本人たちにはわからない。理解されない懸命さは滑稽だ。結果の出ない努力はむなしい。
 人並みの人生から、少しだけ足を外に出してみる。ふつうなんてつまらない。だがそれは、片足を残しておくことでいつでも戻れる保険をかけているようなものなんじゃないか。隣を見ると、自分と同じように足を出した連中がいる。負けじともう少しだけ”外側”に体重をかけてみる。あと少し、あと少しと繰り返すうちに、気づいたら戻れない。気づいても、戻れない。
 少数派でいたいと思う天邪鬼な気持ちは、誰でも少しくらい持っているものかもしれない。しかしそれは、”その他”として扱われ、”その他”は大多数に埋もれて除外される。”サブカルかぶれ”でも、なんとなくそうしたことにも気づくようになる。だからって、今まで散々馬鹿にしてきた”ふつう”に戻れるだろうか。それとも両足を突っ込むべきだろうか。自分が平凡だとは思わない、思いたくない。自意識が邪魔をする。人の目が気になる。サラリーマンになり、主婦になり、こどもができてふつうに戻った元仲間が応援するふりして嘲笑っている気がする。
 そうしてまたピチカート・ファイヴを流し、BUMP OF CHICKENをギターで弾き語り、辞書ほどの厚みがあるナンシー関大全を読むうちに一日が過ぎる。
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兼業農家ツベル

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平成28年熊本地震に被災しました。今は元気です。

最近自分がアスペルガー症候群(AS)の特性が強いことがわかりました。

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