読んだ本―児童性愛者―ペドファイル

児童性愛者―ペドファイル
ヤコブ ビリング
解放出版社
売り上げランキング: 215,561


 はじめに言っておく。この世の知らなくてもいい出来事を知って後悔したくなければ決して手にとってはいけない。また、愛する子供のいる人は、吐き気をともなう苦痛を味わうことになる。この話が今現在もどこかで行われている事共のほんの一部であるという事実に。

 書評ブロガーであるDain5さんが読後感がサイアクな本のトップ3に選んだ本。
わたしが知らないエロ本は、きっとあなたが読んでいる ついに「隣の家の少女」を超える劇薬を読む

 テレビ局に勤めるジャーナリストが、児童性愛者になりきり愛好者の集うクラブへ潜入取材する話。
 主人公は積極的に会員に話しかけ、信頼を得ることで児童性愛の情報を得ようとする。そのためには、自らも児童性愛者になりきらなければいけない。父親である主人公にとって、これは吐き気をもよおす胸糞悪い仕事だった。
 会員は、法的に裁かれることなく、また、地域のコミュニティーに溶け込んだ今の暮らしから阻害されることのないよう自らの生活とプライバシーを守りながら、いかにペドファイルとしての欲望を満足させられるかに心を砕いていた。ある者は専門誌でペンフレンドを作り、通信販売のような形で児童ポルノを集めていた。またある者は年金生活の時間の自由さを利用して海外へ赴き、現地の子供をたくみに誘い込み、金品を援助するという形で性的満足を得ていた。
 海外の子供の中には、それら児童性愛者をある意味では利用している者もいた。自分の知り合いを紹介することで紹介料を得て、生活の足しにしているのだった。
 主人公は、信頼を得た会員の家で彼のコレクションをじっくりと鑑賞させられることになる。同好の士として振る舞うためには、それらに目を背けず、それだけでは足りず、いかにも興味があるという態度を取らなければならない。そうして、そのコレクションのモデルになった女の子から届いたという手紙を元に、モデルにさせられた少女とコンタクトをとることを試みる。
 はたしてそれは叶う。拒絶され、拒否され、嫌悪されながらも主人公は食い下がる。そうしてとうとう番組への匿名出演という形によって証言をもらうことに成功するのだった。
 そうして完成した番組を放送すること。それは、”自分を信頼してくれた人間を裏切る”(それがたとえ忌むべき児童性愛者であったとしても)ことを意味する。誠実な社会人である主人公は、正義と裏切りのはざまに立たされる。

 文体はいかにもそっけなく、物語としての盛り上がりもない。当然だ。これは事実の記録だからだ。淡々とした筆致は、ガツンと殴られるような衝撃はないが、しっとりとしくしくと読んだ者の内腑にしみこみ、精神にはりつき、日常の隙間で幼いころのトラウマのように蘇るのではないかと思わせられる。
 これは、無理矢理児童ポルノの生贄とされた子供たちを描いたものだと思っていた。だが、読後はそんなに単純な印象とは異なっていた。
 被害者の子供たちは、まだしも救いがある。救ってくれようとする大人たちが少なからず存在する。しかし、望む望まざるに関わらず”児童性愛者になってしまった者達”は?この先の人生を自己正当化に費やし、暗い欲望を燃え上がらせることもできず、消すこともかなわず、くすぶる熾を宿したままいつ爆発するかわからない犯罪者予備軍としてもしくは犯罪者として生きていかなければならない。
 「ロリコン死ね」と言うのは易しい。条例や法的に禁止するのもできなくはないだろう。だが、それで児童性愛者がいなくなるということは、おそらくない。迫害されればされるほど、うまく市民に溶け込み、周りにバレないやり方を誰かが思いつき、人知れずひっそりとそれらの行為は続けられるのだろう。
 性的な対象が世間一般で言われるノーマルとは違う人達がいる。それらの間口は少しずつ拡がり、過去には犯罪として扱われたことが法的に許可されるようになったりもする。しかし、児童性愛者が世間に友好的に迎えられる日はないだろう。それでも、そうなってしまうのかそれの要素を持って生まれてくるのかはわからないが、児童性愛者はいつだってどこかにいる。そう遠くない場所に、無害な隣人のひとりとして扱われながら。
 児童性愛者を”治療”しようという人たちもいないではなかった。だが、”治らなかった”。性的嗜好を他人が変えようとすることの難しさ、いや、児童性愛者自身ですらこう述べている。
 「反対の方に行けばよかったよね。年上の方が簡単だから」
 自分でも止められないブレーキの壊れた自転車で坂道を突っ走っているような自覚があるのだろう。だが、この言葉のあとはこう続く。
 「確かにそうだよ。小さい子は秘密を守れないからね」
 反省や後悔は読み取れない。児童性愛者の闇は、暗く、深い。
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