日本神話と不謹慎表現

■不謹慎表現と神話

●米ディズニーランドの「カリブの海賊」で人身売買を描いたシーンが削除に | スラド YRO
リンク先では上記のニュースを受け、エンターテイメントと不謹慎表現の話が繰り広げられている。
そこから話は広がり、神話の不謹慎表現へ。

●旧約聖書 (#3238570) | 米ディズニーランドの「カリブの海賊」で人身売買を描いたシーンが削除に | スラド

この調子だと旧約聖書の世界もアウトだな
相手が包茎と言うだけで 妹の結婚に兄たちが猛反対
結婚したければ本人はもちろん一族の男全員皮を切れと要求
股間が痛くて苦しんでいるうちに襲撃して男全員殺害
家、家畜、女たちを略奪
これを兄弟で山分けしこの兄弟がユダヤ13氏族の始祖となる



■日本神話の不謹慎表現

日本神話の古事記もすごいぞ。

あるとき偉い神様がイザナギ、イザナミの二人に言いました。
「なんか国がふわふわしてるから、この棒でうまい具合にしといてくれ」
そこでイザナギとイザナミは、立派な棒をとろとろしたシモに差し入れ、潮の音を立てながらかき回すと棒の先から白いものが滴りました。これが積み重なり、固まって島になりました。
そこでイザナギが「君の体ってどうなってるの?」と尋ねると、イザナミは「穴が開いてるとこがあるの…///」と答えました。
イザナギは「おれは出っ張ってる部分があるから、これをそこに挿したら国ができると思うんだけど」と言いました。イザナミは「それって超いい感じ!」と応えました。


※日本神話である古事記の意訳です。

天の沼矛で国造をする場面。ここをセックスの暗喩だとする解釈は神話ファンのあいだで根強い。サブカルロマンなその説を取るとしても、次に誰のセックスなのか、という疑問が出てくる。
もちろんイザナギ達、ではない。彼らは鶺鴒(セキレイ)の交尾を見るまでやり方を知らなかった。彼ら以外の神でもない。それらの神はいつの間にか「有る」ものであって、「生まれる」ものではなかった。

それでは神でもなく、日本の成り立ちを表した書紀に書かれるべきものは何か、と考えていくと、民草にたどり着く。

●稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 古事記 現代語譯 古事記

 そこで天の神樣方の仰せで、イザナギの命・イザナミの命御二方に、「この漂つている國を整えてしつかりと作り固めよ」とて、りつぱな矛をお授けになつて仰せつけられました。それでこの御二方の神樣は天からの階段にお立ちになつて、その矛をさしおろして下の世界をかき※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)され、海水を音を立ててかき※(「廴+囘」、第4水準2-12-11)して引きあげられた時に、矛の先から滴る海水が、積つて島となりました。これがオノゴロ島です。その島にお降りになつて、大きな柱を立て、大きな御殿をお建てになりました。


武具である矛を持って国を整えよと命じられ、その後に大きな御殿を建てる。武力制圧による平定を連想しないほうが難しい。

クニとしてのまとまりのなかった土地で民草が好き勝手に暮らし、子を生んでいた。そこに天の沼矛という宝具、権威の象徴を持った者が現れ、「島」に象徴される小規模な自治体を形成していった、などと考えるとおもしろい。この場合、天の沼矛のくだりはダブルミーニングとも考えられる。
こおろこおろの音は戦の鬨の声か、塩は貢物か戦利品か。

ところで、熊本の方言に「ぬまる」というものがある。意味は「田んぼや干潟、沼などのぬるぬるどろどろしたところにうずまる様子」だ。
天の沼矛は、どろどろした捉えどころのないものにぬまらせただけでお役御免となった。島を生み出すほどの力を秘めた宝具でありながら、その後は行方もわからない。

天の沼矛は武力の象徴でもあったのだろうか。平定のための特殊部隊は、目的が果たされた後はいつ反目するかもわからない危険な火薬庫だ。
文民統制(シビリアン・コントロール)は近代の理念であり、日本では古代から幕末以後の近代に至るまで、武力と権力は同一だった。

天の沼矛の別名とされるものに「天逆鉾(あまのさかほこ)」がある。これは現在でもレプリカが宮崎県高千穂峰の山頂に刺さっていて、坂本龍馬が新婚旅行でお龍とともに引き抜いた、などという微笑ましいエピソードもある。
しかしこれは中世以後の神道の影響が強いものなので、別のものと考えるほうがよさそうだ。


話がそれた。日本神話では、他にも生まれた我が子が不具の子だったから海に流して捨てただの、イザナミが難産で死んだから生まれた子の首を切り落として「むしゃくしゃしてやった」だのやりたい放題。
神様じゃなかったらただのやべぇ奴だ。

ホノカグツチ(ヒノカグツチ)は出産の際にイザナミの陰部を焼いたとされるが、考えてみればおかしな描写だ。ホノカグツチが火の神であるならば、出産時ではなく身籠った時点でイザナミの腹の中を焼かなければならない。
しかしそうはならず、産み落とすまでは何事もなく身籠っている。

イザナミはホノカグツチを生む際に嘔吐(へど)を吐き、屎(くそ)小便を漏らして苦しみ、命を落としたとされる。難産の描写と考えるのが妥当だ。

日本書紀ではヒルコ神、淡路島については不具の子ではなく、出産時に臍帯(へその緒)とともに排出される「胎盤(プラセンタ)」とされている。

●第四段本文 大八洲の誕生

まず淡路島がエナ(胎盤)として生まれたが、エナは不愉快なものなので、吾恥(=アワジ)と名付けました。


長くてぐにゃぐにゃした内臓のような塊を見たイザナギは、「ヒルのような子が生まれてしまった」と勘違いしたのかもね。


■スサノオと不謹慎表現

日本神話では、スサノオによる暴行を示唆する記述もある。
古事記では以下のようになっている。

●素行不良が過ぎる

天照大御神(アマテラスオオミカミ)は神聖な機織り小屋で神にささげる服を織らせていました。
スサノオはその小屋の屋根をぶち破って、逆に皮を剥いだ馬を放り込みました。すると機織りをしていた女性が驚いて、女性器を機織りの部品の一つ(梭=ヒ)で突いて死んでしまいました。


日本書紀ではこう記述されている。

●第七段一書(一)稚日女尊の死と日矛と鏡

稚日女尊(ワカヒルメ)が齋服殿(イミハタドノ)で神の服を織っていました。スサノオはこれを見て、斑駒(マダラコマ=マダラ模様の馬)の皮を逆に剥いで、建物に投げ込みました。 ワカヒルメは驚いて、機織り機から転げ落ちて、持っていた機織りの道具の「梭(ヒ、もしくはカビ)」で体を突いて死んでしまいました。


原文ではそれぞれこうなる。。
  • 天照大御神、坐忌服屋而、令織神御衣之時、穿其服屋之頂、逆剥天斑馬剥而、所墮入時、天服織女見驚而、於梭衝陰上而死。訓陰上云富登。
  • 一書曰、是後、稚日女尊、坐于齋服殿而織神之御服也。素戔嗚尊見之、則逆剥斑駒、投入之於殿內。稚日女尊、乃驚而墮機、以所持梭傷體而神退矣。

『逆剥天斑馬剥而』『則逆剥斑駒』
なぜ「斑駒の皮を逆に剥」ぐ必要があったのか。ただ「剥ぐ」ではなく、「逆に剥」ぐとされている。「逆に」と強調されるならば、それは本来の順向き方向があって、普段とは違う、という意味があるはずだ。順向きになっていたものはなんだったのだろう。「剥」の字は「はぐ」とも読むが、「むく」とも読む。そちらで考える必要があるだろうか。
たとえば普段は下向きのものが、時と場合によっては上を向く、などが考えられるかもしれない。

そして古事記では、なぜ機織り女は機織りの道具の「梭」で陰部を突いたなどとわざわざ辱められる描写になっているのか。
「スサノオの投げ入れた馬に押し潰された」などいけなかったのか。あえて記述しなければならないほど重要な意味があるのだろうか。

「梭(杼:ヒ)」は外国ではシャトルと呼ばれ、現在でも織物作業で使われている。サイズは細かな違いはあるが、概ね幅2~4cm弱、全長20cm前後の手にすっぽりと収まる大きさの棒状の道具である。
記紀のどちらも「機織り娘が死んだこと」と「棒状の道具である梭に体を突かれたこと」を同じくらいに重視しているようにも読み取れる。なぜ梭で突かれることがそれほど重要視されたのだろうか。

●生田神社についてご紹介 | 神戸の安産祈願・恋愛成就・ご縁結びは生田神社
犠牲者となった稚日女尊(ワカヒルメ)の解釈は様々だが、たとえばこの神を祀る生田神社ではアマテラスの和魂であるとされている。和魂(ニギミタマ)とは神の別の顔、つまり別名だ。
「稚(おさない)日女尊(太陽の女神)」なんて名前からして不思議だ。太陽はひとつしかなく、日本において太陽の女神が意味するものはひとりだけではないのだろうか。

となれば、スサノオが手をかけたのはアマテラスである、という解釈も無理な考えではなくなってくる。
しかし記紀のどちらも、アマテラスはその後も生きている。死んだのはアマテラスの和魂、別の一部分ということなのだろうか。


日本書紀第七段一書(二)では以下になっている。

●第七段一書(二)-1日神が臭くなる

また日神(ヒノカミ)が織物の神殿に居る時に、斑模様の馬を生きたままに皮を剥いで、その神殿に投げ込んでしまいました。


原文。
  • 且日神居織殿時、則生剥斑駒、納其殿內。
馬は生きたままであることが示唆されている。前述の部分でも馬自身の生死には触れられていない。
書紀は以下のように続く。

日神の新嘗(ニイナエ=収穫祭)のときのことです。スサノオは神殿の座席に、ウンコをしてしまいました。日神は何も知らないで、席に座ってしまったので、日神の体はウンコ臭くなってしまいました。

それでついに日神は怒り恨み、天石窟(アメノイワヤ)に籠って、その岩戸を閉じてしまいました。


原文。
  • 及至日神當新嘗之時、素戔鳴尊、則於新宮御席之下陰自送糞。日神、不知、俓坐席上、由是、日神、舉體不平、故以恚恨、廼居于天石窟、閉其磐戸。

大事な収穫祭を乱暴狼藉で穢した、と解釈できる場面。
しかし、あえてアマテラスの座る場所に汚物を置き、アマテラスの下腹部を穢したと強調されているような記述が気になる。

こうしたことがあり、アマテラスは天石窟(アメノイワヤ)に引きこもる。そうして夜の世界になりみんな困ってしまう。
女神が石の穴にこもってしまう描写だ。これ以後アマテラスが子供を生むことはない。

古い言葉で「石女(うまずめ)」というものがある。子供を産めない女性を意味する蔑称だ。
スサノオの悪行のせいで石にこもる女神。ここに意味を見出すのは穿ちすぎだろうか。


そんなアマテラスを呼び戻すのは、古事記にて有名なアメノウズメによるストリップダンスのシーンである。

●思金神の策
このくだりでは、ありとあらゆる宗教的な要素が詰め込まれている。
八咫の鏡、勾玉、玉緒、サカキ、宝物、宝具。占い、祝詞、巫女となるアメノウズメによる神懸かりの儀式。

●第七段一書(三)-2これほど素晴らしい歌は聞いたことが無い
日本書紀ではストリップダンスの場面はないものの、なりふり構わず御利益のありそうなものを片っ端から日の神に捧げる、という描写は同じだ。


■栃木の『鬼怒沼の機織姫』との類似点

ところで、栃木の昔話で『鬼怒沼の機織姫』というものがある。
姉の元へと訪ねた若者が帰りの道中で機織り娘に見惚れてしまう。それに気づいた娘は逆上し、若者に襲いかかる。しかし若者はなんとか切り抜け、最後には機織り道具の杼(ひ)で娘を突き殺す、という話だ。

●まんが日本昔ばなし?データベース? - 鬼怒沼の機織姫

まるでスサノオとワカヒルメのくだりのようだ。
「機織姫」は、素肌が透けて見えるような薄衣の姿とされていて、子供に聞かせる昔話とは思えないような性的な示唆を感じる描写になっている。

●鬼怒の中将乙姫伝説 天空の竜宮城「鬼怒沼湿原」
この話のベースは『鬼怒の中将乙姫伝説』であるようだ。元をたどると平家の落人伝説ともつながるらしい。
上記リンク先では、この昔話の様々な異聞や類話を読むことができる。

異聞では、山男が姫の美しさに見とれているあいだにいつの間にか手に持っていた斧の柄が折れてしまった、という描写になっている。その後山男が我が家に帰り着くと三年が経っていて、自分の法要が執り行われていたということだ。
他の話では、大筋では「まんが日本昔ばなし」と同様だが、ラストが少し違う。家に帰り着いた若者は腑抜けになってしまい、やがて痩せ衰えて死んでしまう、というものになっている。

なぜ男はみな棒状のものを持つのか。どうして美女に見惚れると男が疲労困憊となり、死ぬほどの目に遭うのか。

様々な想像が膨らむこれらの物語だけど、今日のところはこの辺にしておこう。


■無料公開されている古事記、日本書紀

古事記は青空文庫で読むことができる。

●図書カード:古事記
現代語訳はこちら。

●図書カード:古事記
昔の言葉遣いはこちら。読みにくいけど、漢字表記に味わいがあってこれはこれで雰囲気ある。


以下は日本書紀を口語訳したサイト。

●日本書紀神代上
こちらでは日本書紀の他にも古事記の口語訳もある。

●古事記、全文検索
●日本書紀、全文検索
原文は漢字ばかりでまったく読めません。



現代の天の斑馬(あまのふちこま)といえばこの子。攻殻機動隊の多脚戦車の「タチコマ」。
原案となった漫画版では「フチコマ」となっている。原作者の士郎正宗はあらゆる神話をごった煮にした作風で知られる。


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【ネッシーの正体】タリモンストラムグレガリウムはUMAじゃなかった

■タリモンストラムグレガリウムはUMAじゃなかった

●3億年前の謎の生物「タリー・モンスター」、ついに正体判明 ≪ WIRED.jp

1958年にイリノイ州でこの小さな生物(全長わずか10cm)の化石を発見したのはフランシス・タリーという人物で、そこから「トゥリモンストゥルム(Tullimonstrum)」という学名が付けられた。「タリーのモンスター」という意味だ。


●謎の古代生物タリーモンスターの正体がついに判明 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

学名の Tullimonstrum gregarium から「トゥリモンストゥルム」と呼ばれることもあり、長らく軟体動物だと思われていたが、実は脊椎動物だったことが3月16日付の科学誌「ネイチャー」で発表された。


「Tullimonstrum gregarium」を日本語でどう読むかは難しい。どれが正しいかはさておき、筆者が初めて知った時のそれは「タリモンストラムグレガリウム」という表記だった。


30年近く前の日本は確かにオカルトブームだった。当時、小学校低学年だった筆者はもろにその洗礼を浴びた。
UFOや心霊もの、ノストラダムスにこっくりさん。ありとあらゆる怪しい話があふれ、毎週のようにテレビで特番が流され、夏休みともなると毎日のように心霊コーナーが放送されていた。
中でも、特に心躍らされたのがUMAだった。


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ネッシーの想像図:Amazonより

ネッシーや雪男イエティ、ツチノコやヒバゴン、モケーレ・ムベンベなど。訳のわからない名前と不思議な想像図が添えられたそれらの本を夢中になって読んでいた。

水木しげるの妖怪ほどファンタジーではなく、UFOや宇宙人ほど荒唐無稽でもない。幽霊のように特別な霊感を持った人しか視えないというものでもない。
もしかすると、自分でもそういうものを目にする時があるのかもしれない。そんな期待を込めて、原っぱや雑木林へ冒険へ出たこともあった。

今のようにネットのない時代のこと。真偽を確かめるすべはなく、遠い未開の地には、もしかしたらこういうこともあるのではないか。そう思わせられるリアリティにあふれていた。
子供の目からすれば、ジャングルの珍しい動物もUMAも似たようなものだったのだ。

それらを紹介していたのが飛鳥昭雄だ。そして、彼が熱く語っていたネッシーの正体こそ、冒頭のタリモンストラムグレガリウムなのである。

30年の時を経て、“ネッシー”の正体は判明した。感無量だ。



この手のものは本気で読むからこそおもしろい。こうしたものを楽しめる心の遊びは持ち合わせていたい。

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Author:兼業農家ツベル
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最近自分がアスペルガー症候群(AS)の特性が強いことがわかりました。

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