「逆戻り」ってなんだ?

■「戻る」じゃダメなの?

ニュースなどで「日中は残暑が厳しく、夏に逆戻りしたような気候です」などという表現を見かける。経済ニュースでは、「急激な円高の影響でデフレへ逆戻り」というような見出しが付けられることがある。

「飲み込んだ食べ物が逆戻りして吐き出してしまった」というような使い方なら、正常な流れに逆らっているのだから納得感がある。
しかし冒頭の例だと「戻った」と言い換えても意味は変わらないのではないだろうか。なぜあえて「逆戻り」という表現が使われるのだろう。

アバター (字幕版)
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「アバター」という映画では、顔に傷のある軍人が「こんな傷、地球に戻りゃすぐ消せる。イケメンに逆戻りさ」と言う台詞があった。Amazonビデオの字幕版。
くだけた表現の揚げ足を取るようになってしまうけど、「イケメンに戻れるさ」「イケメンに元通りさ」でも問題なさそうな表現だ。
「逆戻り」が使われる場面は、大抵「戻る・戻った」でも問題ないように思える。

「自然の摂理を無視してありえない状態に戻る」という意味なんだろうか。
ネットの辞書サイトを見ると、「戻る」の他、「Uターン」という意味でも使われるとのこと。Uターンならなおさら「戻る」じゃないんだろうか。「元の場所に戻る」んだから、全然「逆」には思えない。


■「逆戻り」はネガティブワード?

Googleのニュース検索で調べてみると、総じて「都合の悪い状態に戻る」場面で使われることが多いようだ。
冒頭の例に加え、「1軍から2軍へ逆戻り」「銃撃戦が相次ぎ内戦に逆戻り」「悲しい現実に逆戻り」「昭和の時代へ逆戻り」などの例があった。
まれに「楽しかった田舎の少年時代へ逆戻りした気分です」というポジティブな使い方もあった。これは先に考えた「自然の摂理を無視してありえない状態に戻る」という意味に近いかもしれない。

いろんな例を見ていくと、ひとつ気づいたことがある。「ちゃんとした言葉を使ってる感じ」が出るんだ、「逆戻り」を使うと。

「円高の影響でデフレへ戻った」
これだと口語体なのでなんだか軽い。

「円高の影響でデフレへ逆戻り」
こうするとほら、座りがいい。〆てる感じがするし、段違いにニュースタイトル感が出る。

「戻った」だと漢字一つだけど、「逆戻り」にすると感じを二つも使っているし熟語っぽくなる。深い意味があるように思えるし、深みが出るんだろう。
意味があるように思えるが実際は大した意味はない、というのもポイントだろう。本当に隠れた意味があると、誤用した時に突っ込みが入ってうるさい。意味はないけどあるっぽい。ナウいな、なんか。90年代のサブカルっぽさ出てる。
これかー、「逆戻り」が使われる訳は。


■「逆戻り」を使ってみよう

ということで、なんでもない会話でも「逆戻り」を使うとかしこまった話っぽさを出せるかもしれない。

「買物しようと街まで出かけたが、財布を忘れて拙宅まで逆戻りしたのである」
どうだろう。ただのうっかり者にも関わらず、風情のある文学的な雰囲気を漂わせることにすら成功している。

「会社をクビになって、懐事情は貧乏学生時代に逆戻りさ。ついでに髪もフサフサに逆戻りしてくれないかなあアハハ」
どうだろう。ハゲで無職という同情を禁じ得ない話にも関わらず、「逆」を有効活用することで「マイナスにマイナスを掛けてプラスにする」効果すら生まれている。なんとなく彼は飄々と人生を渡っていけそうだ。

ちなみに筆者の父親も悲惨なハゲかたをしていて、自身も薄くなりつつあるので他人事ではない。求む逆戻り!

以上、どんな時でもポジティブシンキングだと強い、という話であった。


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インターネットのない世界

■インターネットのない世界

●インターネット環境がない40億人のためのPC「Endless」 ≪ WIRED.jp
世界には、未だにインターネットのない世界で生きる人達が40億人もいるという。「Endless」はそれらの人達のために開発され、オフラインでの活用を目指した低コストPC。

「Endless Mini :24GB」というPCの価格はモニター別で79米ドル。32GB版が99ドル。
ネット環境がない人のために、たどり着くと予想されるウェブページやアプリを予めローカルにダウンロードしておく、という考え方。

コンセプトには賛同するが、肝心のコンテンツがWikipediaというのはどうだろう。でもネット環境のない場所を考えるとそれがベターなのか。しかし…。うーん。


■Wikipediaの信頼性

Wikipediaは誰もが知っていることを再確認する場所で、新しい知識を得る場所とするには信頼性が低い。
ページの作成や修正はボランティアで行われているため、「専門家だが忙しい人」と「趣味で知っている程度だが暇な人」では、後者の意見が残りやすいからだ。そのため、正しい意見を持つ人が修正しても、暇な人が誤った情報で上書きするということが起こってしまう。

誰もが知っている情報でなおかつ一定数以上の閲覧者がいれば、誤った情報も修正される可能性がある。しかし、「誰もが知っているが間違っている情報」というものもある。勘違い、ことわざや熟語の誤用もないとはいえない。
これはWiki形式の構造的な欠陥なので、そういうものと認識しておくしかない。
それを確認するためには、複数の情報源をあたるかきちんとした専門家の意見を見なくてはいけないが、そのためにはネット環境が必要になってくる。

また、半端な知識の人間の作ったエントリーはやたらと冗長で回りくどく、読みにくかったりもする。このブログを見てもそれはわかるだろう。

ネット環境が行き渡ってない国では、ウェブサイトをUSBメモリを使ってローカルにコピーすることで情報を拡散していると聞いたことがある。なんたって『●南アフリカのインターネット通信速度は伝書鳩よりも遅い』のだから。
冒頭のデバイスが広く行き渡りさえすれば、そうした方法である程度の情報の新鮮さを保つことができるのかもしれない。
一定量以上行き渡ればスケールメリットが生まれるので、コストの削減や支援の拡大、対象地域向けのスポンサーなども考えられる。


■ネットがなければつぶやけないしググれない

しかしリアルタイムでのネット環境がないということは、ネットニュースやネット通販、SNSにチャットアプリ、ウェブメールも使えない。ウェブ検索そのものができない。つまりネットの優位点である即時性のほとんどが損なわれる。
こうしたことを考えると、このEndlessを使っても情報格差は残ることになる。


■何が便利かわからない?扱えない?

こういうことは一気に解消を目指すのではなく、少しずつの積み重ねなんだろう。これらの地域にネット回線が張り巡らされたとしても、住民の馴染みのないものになっては意味がない。
現実問題として、日本ではスマホで安価にネット接続できる世の中になっているが、それでも未だに機器が扱えない、ネットに馴染めないという人はいる。
「使おうと思えば使えるが、自分の意思で使わない」のなら個人の自由。だが、「使い方がわからない、扱えない」というのは格差につながる。

「ネットの何が便利かわからない」というのはもっと悲惨だ。
貧困国の親が子供に「学校なんか行っても一銭にもなりゃしねぇ」として低賃金労働に従事させる図式がある。きちんと教育を受け、一定水準以上の教養を身につければ将来性のある、ずっと高収入な業種への道が開けるのだが、親はその経験がないので学校へ行く価値がわからない。
それと似たものを感じる。

扱えない人の代わりにフォローしてくれる人が身近にいればまだいいが、そうでなければ情報から孤立してしまうことになる。
字が読めない、言葉がわからないということに近いのではないか。これはあながち比喩でもなく、PCやスマホに馴染みのない人にはネットの用語は伝わらない。
こうしたことを考えると、遠い国の話でもないように思えてくる。


■Endlessのもたらす価値

Endlessは、ネット難民の情報格差を完全に解消することはできないのかもしれない。
だが、それに触れる子供たちは、少なくともマウスやキーボードの操作には慣れることができる。

将来彼らがネット環境を手に入れた時、それに習熟する手間を掛けずにすぐ扱えるようになるということには価値がある。
ネットの便利さは伝わらなくても、「このPCってやつは百科事典みたいで便利だな」という認識ができるだけでも意味はある。


参考ページ:●INTERNET in Africa - アフリカでインターネット|Biotope Journal
Jutaro Kanazawa氏の『南アフリカのインターネット通信速度は伝書鳩よりも遅い』の言い回しが素敵だったので借用しました。


日本で低コストにネット環境を手に入れるには、今ならChromebookになるだろうか。新品でも3万円を切る価格帯。これに加えてプロバイダと契約し、月々数千円のランニングコストが発生する。
Windows PCと比較するとスペックは低めだが、これはネットのクラウドアプリ使用を中心に考えられているためだ。ネット閲覧 / 文書入力 / ウェブメール / チャットアプリ / SNS程度の用途なら問題なくこなせるはず。

コストだけで考えるとスマホのほうが安くなるが、それだとマルチタスク作業やキーボード操作を覚えられないデメリットが大きいと感じる。

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イ・セドル九段対AlphaGoの囲碁対決の雑感

■囲碁対決はAIの勝ち越し

●なぜ「囲碁」だったのか。なぜ「10年かかる」と言われていたのか──AlphaGo前日譚 ≪ WIRED.jp
リンク先のエントリーは、これまでのAlphaGo関連記事へのリンク集ともなっている。
「モンテカルロ木探索(MCTS)」を生み出した囲碁プログラム開発者、レミ・クーロンの話がおもしろい。

クーロンは電聖戦 (引用者注:日本の将棋で言うところの将棋電王戦) を重要視していなかった。「本当の大会はプログラム対プログラムなんだ」と、以前の電話インタヴューで彼は語っていた。

「敵がプログラマーであるとき、ぼくたちは同等だ。互いに話が通じる。でもプロとの対戦になると、相手が手の説明してきても、ハイレヴェルすぎるんだ。ぼくも理解できないし、相手もぼくのしていることを理解できない。電聖戦は─宣伝にはいいと思う。ぼくはあまり興味がないけどね」


「囲碁を指す」という出力部分は同じでも、それに至るアプローチの違いが感じられる。
囲碁もプログラムもよくわからない筆者は、「ユーラシア大陸を縦断するのにヨーロッパを通るか、アジアを通るかのルート選択の違い」のようなことをイメージした。


さらに驚いたのが、どのプログラマーも自ら生み出したものを「知能」だとは見なしていない点だった。「囲碁の対局は本当にチャレンジングだ」とクーロンはいう。「でも人間の知能をつくり出そうとしているんじゃない」


AIはより良い手、最善を計算するプログラムに過ぎず、その結果として対局の勝利がついてくる、という考え方らしい。
この手の勝負は人間対コンピュータの対決、ということで話題になるが、AIにとっては今まで何千局も行ってきた、そして今後も数限りなく繰り返すであろう対局の一つに過ぎず、何の気負いも想いも盛り上がりもないということか。感じる“心”がないのだから。

なるほど、言われてみれば当たり前のことだ。これらは人間側が勝手に盛り上がっていること。しかし少なくとも、対局で勝ち負けがつく棋士側からすれば平静な神経ではいられないものだろう。観覧者はそこに物語を見出してしまう。

今までAlphaGoのディープラーニングの話題を見るたびに、まるで人間みたいだ、人間っぽい、人間そのものだという感想を覚え、そうした表現でブログにも残していた。しかし、そうした認識はプログラマーのものとは乖離したものであったようだ。


●「またこれから学ぶことが増えました」AlphaGoとイ・セドルが、囲碁にもたらしたもの、AIにもたらしたもの ≪ WIRED.jp
持てる力を出し合った対決が終わり、互いに讃え合う両者。これらのスピーチは感動的ですらある。なんだか読んでいるこちらもこみ上げるものがあった。


ちなみにセドル先生は過去に賞金や棋譜の権利でモメて韓国棋院をお休みして中国リーグに行ってしまった経歴があったり、

中国甲級リーグでは2004年から貴州チームに参加、2008年には全勝すると10万元、敗れると一銭もなしという契約で8戦全勝を果たし (セドル先生のWikipediaより)

など、"お金に強い"人という印象があります。 勝ったら100万ドルは本気を買うためのいい値段設定だと思います。

AlphaGoについて(元碁打ち今プログラミングな大学院生の観点から) - pins


イ・セドル九段は世界でトップクラスの実力を持つと同時に利に聡いという、ある意味で真のプロフェッショナルであることが知られているようだ。そういう人だからこそ、設定された報酬条件のもとで本気で戦ってくれると開催側も踏んだのだろう。


■その他のAlphaGo関連記事

●DeepMind:AlphaGoをつくった「4億ドルの超知能」はいかにして生まれたのか? ≪ WIRED.jp
AlphaGoを開発したDeepMind社の創業譚。1万5千字と非常に長いエントリーだが、それを感じさせないほどおもしろい。

●AlphaGoのサーバー利用料金は正規の料金に換算すると年間約29億円? | スラド IT
ひとつ上の『DeepMind:AlphaGoをつくった「4億ドルの超知能」はいかにして生まれたのか?』に出てくる話にも通じる。

しかし、なぜ彼らは会社を売却したのだろう? 「もともとその計画はなかったんです。でもこの3年間、資金集めを懸命に行ってきたため、研究に使える時間は10%ほどしかありませんでした」。

DeepMind:AlphaGoをつくった「4億ドルの超知能」はいかにして生まれたのか? ≪ WIRED.jp


正確な数字はわからないとのことだが、AlphaGoの開発運用には莫大な資金が掛かるということは察せられる。


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兼業農家ツベル

Author:兼業農家ツベル
PC(パソコン)ときどきゲーム。ニュースも少々。

平成28年熊本地震に被災しました。今は元気です。

最近自分がアスペルガー症候群(AS)の特性が強いことがわかりました。

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